土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
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環境システム研究論文集 第45巻
脱水汚泥の直接セメント原料化(キルン投入方式)を対象としたエネルギー収支解析
中久保 豊彦
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2017 年 73 巻 6 号 p. II_233-II_244

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抄録

 セメント工場が近距離に立地する地方都市の下水処理場では,脱水汚泥の処理をセメント工場に委託し,キルンで脱水汚泥を焼却する方式(直接セメント原料化)が採用されている.同方式は下水汚泥エネルギー化率の向上に貢献できない資源化方式であるため,見直しを求められる可能性を有している.しかしながら,直接セメント原料化は温室効果ガス排出量での評価が十分に行われておらず,その継続の可否について判断するための知見が不足している.そこで本研究では,群馬県,栃木県を対象とし,脱水汚泥の直接セメント原料化ケースと固形燃料化ケースを温室効果ガス排出量と事業コストにより比較評価した.結果,下水汚泥資源化に係る他の温暖化対策と比較し,直接セメント原料化から固形燃料化への転換は費用対効果が小さく,直接セメント原料化の継続も有用な判断であると結論づけた.

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© 2017 公益社団法人 土木学会
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