抄録
本研究では,水制の透過度の違いに着目し,水制周辺の流れや河床変動がウグイの遊泳行動に及ぼす影響を明確にすることを目的とし,水理実験,移動床実験および実魚を用いた挙動実験を行った.
その結果,透過度の違いによって水制前後で流速低減効果に差が生じた.また,透過水制1基のとき,流れに及ぼす影響が少なかった.不透過水制では,水制前後の流速低減が顕著であり,ウグイは水制下流側で滞留し続けた.一方,透過水制ではウグイが水制内を通過し,水制設置区間を縦断的に移動し,水制周辺で滞留した.ウグイは,水制周辺の15(cm/s)(2BL(cm/s))以下の箇所で滞留し,滞留時間は渦度ωzの大きさが増加すると長くなった.また,不透過水制は水制先端部で砂の局所洗掘が生じたが,透過水制は河床に与える影響が少なかった.