抄録
本研究では,下水汚泥堆肥の成分特性を把握後,マッシュルーム(ツクリタケ,Agaricus bisporus)の栽培を試みた.その結果,下水汚泥堆肥を単独の栄養材として利用した試験区では,収量が対照区(牛糞堆肥区)と比較して極端に少なかった.これは,菌糸の生殖成長期に利用されるセルロースやカリウムが培地中に極端に少なかったことが影響していると考えられた.一方,下水汚泥堆肥と牛糞堆肥を併用した試験区では,収量が対照区と比較して1.2~1.8倍に増加した.また,子実体中の重金属含有量は対照区と同等であったこと,さらに一般成分,アミノ酸含有量などの栄養成分についても対照区と遜色ないことから,下水汚泥堆肥はマッシュルーム培地に利用できると考えられた.