抄録
石油随伴水の前処理として,油水分離による油分回収について検討した.エマルション状油分を含む模擬石油随伴水に塩を添加することで油水分離が促進され,油分が表層に浮上し最大96.3%の油分を回収できることを確認した.使用する塩は,Na+よりもMg2+やCa2+のような2価の陽イオンから成る塩を添加した方が少ない添加量で高い回収率を示した.石油随伴水原水と,塩添加による油分回収後の含塩石油随伴水に対して凝集処理を実施したところ,初期油分濃度の違いから含塩石油随伴水に対しては原水より少ない凝集剤(PAC)の添加で良好な処理が可能であった.また増粘剤を含む石油随伴水では,塩添加による粘性低下効果により凝集剤を容易に全体的に拡散できるため,粘性低下を目的とする凝集剤添加が不必要となり,凝集剤の添加量を削減できる可能性が示された.