抄録
田んぼダムは水田に特殊な排水装置を設置することにより落水量を制御する取り組みで,洪水時のピーク流量の緩和とその遅延を目的としている.水田耕区に適した装置を選定するために,本研究は水理実験と水理シミュレーションによって3種類の排水装置の貯留能力を比較した.対象とする装置は田んぼダムで使用されるフリードレーンと軽量落水枡,田んぼダム未実施の地域で使用される標準的な落水枡とした.
解析の結果,軽量落水枡は降雨時に安定して貯留能力を発揮し,フリードレーンは水深が高く,広い水田面積の条件で貯留能力を発揮する.1時間の総雨量141mm,中央集中型,水田面積2000m2の条件設定の場合,軽量落水枡はピーク落水量の74%を抑制,280分の遅延,フリードレーンはピーク落水量の44%を抑制,70分の遅延となった.