抄録
本研究では,近年のスキー場来客数の減少と温暖化との因果関係について考察することを目的とする.具体的には,2007年~2016年の長野県のスキー場来客数を対象に,エリアごとの時系列データによって説明変数となる気象要因を抽出し,その後プーリングしたデータの下でパネル解析を図ることで,来客数の変化率を気象的要因とそれ以外の要因に分離した.その結果,対象期間における年あたりのスキー場来客数の全要因による変化率,気象的要因による変化率,気象以外の要因による変化率はそれぞれ,-2.95%,0.46%,-3.41%となった.すなわち,来客数の減少は主に社会的要因などの気象以外の要因に起因するものであり,気象的要因はこの期間むしろ来客数の減少をわずかながら軽減させていたことが知見として得られた.