2018 年 74 巻 5 号 p. I_405-I_416
本研究では,気候変動影響をはじめとする適応計画策定に必要な要素について,地方自治体行政職員が主観的な評価により回答可能な気候変動リスクアセスメント手法を開発し,これを用いて,適応策の立案に向けてどのような技術開発に対するニーズを持ち,また部局間で認知ギャップを持っているのかを明らかにしてきた.主な結果は以下のとおりである.科学的データについては,水稲,果樹,熱中症,暑熱による生活への影響等,自然林・二次林,土石流・地すべり等への影響について,より短く詳細なレベルでの推計にニーズがある.アセスメント手法により,気候変動の外力リスクと影響の重大な分野,感受性と適応能力の評価について部局間での相違が視覚的に確認でき,庁内横断検討会などでの活用が期待される.