抄録
下水汚泥堆肥を用いたマッシュルーム(ツクリタケ,Agaricus bisporus)栽培における生産性向上を図るために,原基誘導促進に必要不可欠な覆土資材(ピートモス)の物性に着目し,栽培試験を実施した.その結果,密度が高く,吸水率が低い資材で培地を被覆すると,収量は従来の1.5~1.7 倍に増加し,目標収量値(150~250kg/1,000kg 堆肥)を達成できた.また収穫期ごとの子実体成分特性を調査し,子実体成分は収穫期で大きく異なり,特に収穫期後半では蛋白質量が増加することがわかった.さらに廃培地を堆肥の一般的な施用法で葉菜類の栽培試験に供した.コマツナでは対照区(牛糞堆肥区)よりやや生育が低下したが,チンゲンサイでは同等以上の生育がみられた.廃培地施肥による発芽抑制は全く見られなかった.