抄録
淡水性藍藻類の一種であるMicrocystis aeruginosaは, 肝臓毒であるmicrocystin(MCs)を生成する. 既往研究ではMCs生成に細胞酸化ストレスが関与していること指摘されているが, MCs生成や酸化ストレスに影響を及ぼす水質・環境因子については不明な点が多い. 本研究では, M. aeruginosaの培養過程で鉄制限することによって細胞酸化ストレスを与え, MCs生成と酸化ストレスの関係ならびに酸化ストレスを引き起こす鉄濃度範囲とMCs生成を解明することを目的とした. その結果, 鉄濃度が100 nM以下において酸化ストレスが上昇した. さらに, 低い鉄濃度20 nMでは, 細胞あたりのMCs量が増加することが明らかとなった.鉄濃度の上昇とともに細胞増殖速度は概ね増加し, 増殖速度を考慮したMCsの総生成速度(細胞MCs量と増殖速度の積: fg/day)は鉄制限が中程度(鉄濃度が100 nM)の際に最小となることが示された.