抄録
規模が小さな下水処理場での集約混合嫌気性消化導入を想定して,オキシデーションディッチ法からの脱水汚泥を対象に,消化汚泥を液肥とした草本作物栽培実験および混合嫌気性消化実験を行った.約2か月間の栽培期間での牧草の収穫量は,乾燥重量で0.23 kg/ m2程度であった.嫌気性消化実験での牧草の有機物(VS)あたりのバイオガス発生率は,そのまま投入した場合0.5NL/ gVS-added程度,80℃ 24時間の超高温可溶化処理を行った場合0.6 NL/ gVS-added程度であった.牧草投入が嫌気性消化に関わる微生物群集に及ぼす影響は限定的であった.草本作物により増加するバイオガス量および草本作物栽培に必要な施肥面積の観点で,提案システムの実現可能性を確認した.