土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第55巻
牧場における畜産動物と畜舎周辺に生息する野生小動物の薬剤耐性大腸菌の実態調査
廣木 颯畔柳 聴坂本 信介小林 郁雄上村 涼子糠澤 桂鈴木 祥広
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 74 巻 7 号 p. III_231-III_238

詳細
抄録
 畜産動物は抗菌薬を投与される場合があり,薬剤耐性菌の発生源となり得る.また,ネズミなどの小動物が,畜産動物の残餌やふんなどを摂餌する様子も観察されている.したがって,畜産動物から小動物へと薬剤耐性菌が伝播され,自然環境へ拡散する可能性は否定できない.本研究では,住吉牧場で飼育される肉用牛と畜舎周辺の野生ネズミを対象に,11種類の抗菌薬に対する薬剤感受性試験を実施した.ウシとネズミで,1剤以上に耐性を示した大腸菌が検出された個体の割合は,それぞれ50.0%と41.2%であった.また,両方のふん便からアンピシリンとテトラサイクリンに耐性を示した大腸菌が検出された.薬剤耐性を保有する畜舎内のウシと畜舎周辺におけるネズミの分布状況から,ネズミが薬剤耐性大腸菌を媒介し,環境に拡散している可能性が示唆された.
著者関連情報
© 2018 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top