抄録
グラム陰性細菌のEscherichia coliおよびグラム陽性細菌のRhodococcus equi菌体に対し、高圧を利用した細胞壁処理がCARD-FISH法に及ぼす影響を検証した。結果、高圧単独での処理ではほぼすべての条件でE. coli, R. equi菌体両方からの蛍光シグナルは確認できなかったが、リゾチームやアクロモペプチダーゼなどの酵素処理に高圧処理を組み合わせることで、それぞれを単独で処理した場合よりも強い蛍光シグナルを得られることが判明した。このことから処理圧力レベル、処理温度、酵素濃度の条件を適切に設定した上で細胞壁処理を行えば細胞壁構造の異なる微生物に対しても強い蛍光シグナルを得ることができ、高圧処理がCARD-FISH法における汎用的かつ有効な細胞壁処理として適用できることが示された。