2019 年 75 巻 5 号 p. I_177-I_183
本研究では,自然エネルギー利用省エネ設備である地中熱ヒートポンプシステムのイニシャルコスト適正化の鍵となる間接型地中熱交換器の必要長さを戸建住宅への導入を想定し全国500mグリッドで算定した.各グリッドの気象条件から熱負荷を,ボーリングデータから地質の分布確率の加重平均として有効熱伝導率をそれぞれ推定し,地中熱交換器必要長さを必要温度条件と目標性能条件を満たすよう算定した.500mグリッドでの必要長さは,関東・濃尾・大阪平野では熱負荷の変化が小さく,有効熱伝導率を反映し,未固結な堆積物が厚い平野部で長くなる一方,10kmグリッドにアップスケーリングして全国で比較する場合,熱負荷の違いが反映され,寒冷な高緯度や内陸山地に向かって長くなる.更にシステム導入時の目安となる地中熱交換器必要長さ平均を気候地域区分と有効熱伝導率別に示した.