2019 年 75 巻 5 号 p. I_281-I_287
2019年7月豪雨では,西日本の広域で洪水氾濫等の甚大な被害が生じた.この出水では一部の流域で,ダムゲートの異常洪水時防災操作による直下流水位の急上昇が議論となった.本研究では,富山県の庄川を対象に,降雨流出・洪水氾濫計算より可能最大洪水を含む様々な洪水の状況を事前に算定する.これにより,現在庄川に建設中の利賀ダムが,各出水規模に対してどの程度の洪水低減効果を有するかを事前に評価する.
解析結果より,利賀ダムの洪水調節は,既往最大洪水に堤防決壊が生じる場合,氾濫初期に浸水面積を約24%,浸水量を約24%減少させ,可能最大洪水氾濫時には,浸水面積を約18%,浸水量を約22%減少させることを示した.しかしながら,可能最大洪水氾濫クラスの大規模出水では利賀ダムの貯水位がサーチャージ水位に達するため,氾濫時間の継続に伴い低減効果は減少する.