2019 年 75 巻 5 号 p. I_323-I_330
今世紀末までに最大 0.82m の海面上昇が起こることが予測されているなか,各国では沿岸域の浸水被害を低減させるために様々な適応策を策定している.その一つとして堤防整備やかさ上げといった方法がある.堤防整備には多くの費用を要することから,適切な整備地域の選定と整備高さを設定することが重要となる.しかし,著者らの知る限り,堤防整備地点やその高さについて全球を同じ規格でデータを整備した事例は無く,経済データに基づく被害額推計などから適応策策定の根拠としているのが現状である.したがって,堤防データを用いたシミュレーションと被害額を比較することで,その妥当性が検証できる.そこで本論では,まず衛星画像から全球を対象とした堤防データの整備を行った.次に,高潮被害や土地被覆等が明確である東京湾および伊勢湾を対象として氾濫シミュレーションを行い,全球を対象に同一規格で生成した堤防データの妥当性を検証し,全球展開に向けた課題をまとめた.