2019 年 75 巻 6 号 p. II_197-II_208
水道システムにおいて配水池は水使用量の時間変化を水位変動で吸収し,送水量を平準化する役割を持つ.熟練運転員は,経験に基づいて水位の変動範囲と送水量の平準化のバランスをとった運用を行う.本研究では,運転記録を手本と見なすことで,熟練運転員のバランスに近い水運用計画の立案手法を提案する.実システムの水位記録を分析し,配水池の特性が水位記録のヒストグラムや分位値に与える影響を論じた.分析を踏まえて,水位記録の分位値により水位の日常的な変動範囲を定め,そこからの逸脱を抑制する運用計画立案モデルを提案した.ケーススタディでは,提案手法は水位変動と水量平準化のバランスの点で運転記録をよく再現する運用計画を立案できた.さらに提案手法は運転実績よりも水位変動を適正化できる可能性が示唆された.