2019 年 75 巻 7 号 p. III_265-III_272
イシガイ目二枚貝は淡水生態系において物質循環や懸濁物の除去など重要な役割を担っているが,近年,世界的に個体数の減尐が報告されている.とくに,稚貝や若い個体が尐ないという報告があることから,再生産が行われていないことが考えられる.そこで,本研究では若年個体がほとんど見られない八郎湖のイシガイ個体群に注目し,イシガイ母貝の幼生放出の有無と時期,そして宿主魚類を検討することで再生産が行われているか検討した.その結果,イシガイ幼生の放出は6月から8月の間に行われていること,主にヌマチチブなどのハゼ類に幼生が寄生していることが分かった.しかし,現地では稚貝がほとんど確認されておらず,八郎湖の底生環境の悪化が稚貝の定着を阻害している可能性が考えられた.