2019 年 75 巻 7 号 p. III_53-III_63
水需要減少下におけるわが国の配水管内環境を管理するためには,浄水中懸濁物質の管内での蓄積を制御することが重要である.本研究は浄水処理技術の向上,縮径による管内水理条件の制御,計画的な洗管からなる管内環境管理のための段階的な方策に着目し,これらの制御性を定量的に比較することを目的とした.まず室内付着実験によって種々の管内流速のもとでの管内面に対する微粒子の付着過程を把握し,実態調査による蓄積量の実測,管網における微粒子の蓄積モデルの構築と校正を行った.得られたモデルを用いて対象管網における微粒子の蓄積量分布を推定・視覚化し,上述の3つの方策を想定したシナリオ分祈を行った.その結果,滴切な浄水処理や計画的な洗管によってコストと時間を要する縮径と同等の効果を期待でぎることなどを指摘した.