2020 年 76 巻 5 号 p. I_167-I_176
2017年と2020年のオンライン質問紙調査データを用いて,地球温暖化に対する態度の特徴により回答者を細分化し,人々の関心の程度や態度,対策行動の実施等についてどのような変化があるかを調べた.その結果,危機感が強く対策行動に積極的に取り組む人々(警戒派: 20%),関心が低く明確な意見を持たない人々(無関心派: 33%),懐疑的で対策の必要性を感じない人々(懐疑派: 6%),内容によらず質問全般に同意する傾向の強い人々(肯定派: 10%)は割合に増減があるが3年前と変わらず存在することが示された.他方,質問全般に否定的に回答する傾向の強い人々はまとまりとして抽出されず,警戒派と近い認知や態度を持つが対策行動を伴わない人々(用心派: 30%)が新しく抽出された.最大のボリュームである無関心派は依然として情報提供の重要な対象であると同時に,新しく出現した用心派は回答者の3割を占めており既に関心もリスク認知も高いことから,この人々に対して行動を促すアプローチの検討が重要と考えられる.