2020 年 76 巻 6 号 p. II_109-II_114
海域からの接岸後に遡河を開始する成長段階と考えられるクロコ期のニホンウナギ(平均全長5.8cm)を対象に,遊泳実験を行った.本実験から得られた知見を以下に示す.1)クロコ期のニホンウナギの突進速度は,36cm/s~56cm/s(標準体長BLを用いて表すと6.4BLcm/s~10.0BLcm/s)であった.2)魚の頭部近傍の流速が概ね50cm/sを上回ると,わずかな前進も困難になると考えられた.3)流速39cm/s以下の条件では,30cm以上前進できた個体の割合が68%を上回った.4)実験結果より,日本国内の標準的な既設階段式魚道の多くは,全長6cm前後のクロコ期のニホンウナギにとって遊泳による通過が困難であることが示唆された.このことから,越流部等の高流速域に局部的な減勢措置を施すことや,クロコ期のニホンウナギのよじ登り行動を想定した遡上経路の確保が重要であることを考察した.