2020 年 76 巻 6 号 p. II_121-II_127
本研究では,チチブの栄養段階に着目して,尼崎運河の環境改善の方法について調査研究を行った.その結果,チチブは付着藻類を起点とする底生系の食物連鎖の上位にあり,またチチブを食する大型魚類の存在も示唆された.そこで,環境改善策として,積極的にチチブを保全し,運河内に過剰にある栄養塩をより多くの生物に利用されるようにすることを考えることができた.実際にチチブの保全のためのすみかを作成し,現地実験をした結果,適当なすみかの創出には,空隙がコウロエンカワヒバリガイによって閉塞されないような工夫が必要であることがわかった.