2020 年 76 巻 6 号 p. II_153-II_164
本研究では人口10万人の中規模自治体を想定し,浄化槽汚泥の処理を下水処理場が担う汚泥処理機能統合,ごみ焼却施設で脱水汚泥を混合焼却する焼却機能統合を対象とした更新計画の設計とその評価を行った.ごみ焼却施設での汚泥混焼にあたっては,脱水汚泥を乾燥させずに直接混焼させるシステムとし,ごみ組成変動を踏まえた焼却負荷率の制御により燃焼ガス温度の変動を分析することができる熱収支解析モデルを開発した.地域全体でのエネルギー回収率を評価指標とし,消化なしの条件下では基準としたBase(nonDG)での14.9%に対し,汚泥処理機能・焼却機能の両統合計画を二液調質脱水機の導入下で実施するCase B2 (nonDG)では30.4%に向上する結果となった.消化ありの条件下においても,Base (DG)での20.7%に対し,2つの機能統合計画を実施するCase B (DG)では30.2%まで向上する改善効果を示した.