2020 年 76 巻 6 号 p. II_141-II_152
尼崎運河における生態系サービスを活用した様々な環境改善の取り組みを対象に,社会的インパクト評価としてSROIの算定を試みた.また,SROIの議論として近年,感度分析による信頼性評価の必要性が提案されていることから,SROIの算定に必要な金銭代理指標,アウトカム指標(時間,人数など),寄与率について複数の候補を文献値などから設定し,SROIとして取り得る値の範囲(変動幅)を求めた.
その結果,尼崎運河の2017年度の環境改善の取り組みのSROIは0.85から3.49までの変動幅が見込まれた.また感度分析の結果より,本事例に対しては,金銭代理指標によるSROI算定値の変動幅の変化が最も顕著であることが分かった.