2020 年 76 巻 6 号 p. II_165-II_174
近年,住宅用太陽光発電設備や電気自動車の導入が拡大しており,これらの機器の導入が生活におけるエネルギー消費のあり方を大きく変え,CO2排出削減に寄与する可能性を持つ.本研究では,従来の家庭部門に加えて,自家用自動車用のエネルギー消費を含めた生活におけるエネルギー消費を対象とし,住宅用太陽光発電設備や電気自動車の導入が世帯のエネルギー消費に及ぼす影響を考慮して,わが国における生活起源のCO2排出量の推計を行った.分析結果から,生活起源CO2排出量削減に向けては,系統電力の低炭素化,電化の推進,都市ガス・ガソリン等の消費量削減の必要性が示された.また,住宅用太陽光発電設備や電気自動車の導入拡大は,世帯当たりCO2排出量を大きく削減する可能性を持つことが明らかになった.