2020 年 76 巻 6 号 p. II_209-II_218
IPCCの報告によれば,温暖化により健康への重大な影響が予想されると指摘されている.社会的変化としての高齢化による健康に配慮すべき人の増加や,地球的変化としての気候変動による暑熱環境の悪化に伴い,熱中症搬送数が増加している.本研究では,都市空間の歩きやすさを表す都市機能集積指数を定義し,堺市と神戸市,京都市を対象に町・字別の同指数と熱中症搬送数の関係から,暑熱障害に対する地域特性を区分し,脆弱度の可視化を試みた.その結果,都市機能集積指数が道路ならびに住宅における暑熱障害に対する脆弱性を表現できることが示唆された.また,外出しやすい環境にある地域は道路,住宅ともに熱中症搬送数が多い傾向にあることを明らかにした.