2020 年 76 巻 6 号 p. II_305-II_317
本研究では兵庫県但馬地域を対象とし,下水処理施設の統廃合を,廃止施設の中継施設化による汚水集約処理型で更新するケース,市町村設置型の公共浄化槽移行による汚水分散処理型で更新するケース,2ケースに分類し,コスト,温室効果ガス(GHG)排出量,エネルギー消費量の3つの評価指標を用いて比較評価を行った.各更新ケースには,更新時期を通常更新・早期更新の2つを設け,それらを組み合わせた4ケースと,基準となる現状の施設数を維持・更新する現状維持ケースを加えた5ケースを対象とした.評価の結果,現状維持ケースと比較し,汚水分散処理・早期更新ケースは,2020年から2050年においてイニシャル・更新コストを6.8%,ランニングコストを7.4%,エネルギー消費量を4.1%削減可能であることを示した.