2020 年 76 巻 7 号 p. III_441-III_448
下水処理場では合流式だけでなく分流式においても,雨天時に簡易処理放流が発生していることが明らかになってきており,簡易処理放流に伴う病原微生物の水域への排出が懸念されるが,その実態はほとんど報告されていない.本研究では,生物処理施設と高速凝集沈殿処理施設を有している下水処理場において,雨天時と晴天時にそれぞれ大腸菌とF特異大腸菌ファージ(F-phage)の濃度を測定し,下水処理場から排出される年間負荷量を推定した.具体的には微生物の濃度Cと流量Qから微生物の負荷量Lを算出し,L-Q解析法によって推定した.結果は雨天時に排出される微生物負荷量が,大腸菌・F-phageともに半分以上を占める結果となった.また大腸菌の雨天時負荷量の大半は,簡易処理放流によるものであることも判明した.