2020 年 76 巻 7 号 p. III_521-III_528
国の公的統計ミクロデータを活用し,世帯数,世帯規模,建て方,高齢者の有無などの地域事情を反映させて都道府県別の家庭部門の温室効果ガス排出量を推計するとともに,国の排出目標を達成するために,各都道府県がそれぞれ一律に40%削減した場合の,2030年度の都道府県別の1世帯当たりのCO2排出削減率等を推計した.その結果,世帯内に高齢者の存在を考慮することでCO2排出量は先行研究と比べて-0.1%~2.2%変化し,概ね増加する傾向にあることがわかった.また,人口減少,少子高齢化が進む都道府県においては,高齢化の影響以上に人口減少の影響によりBAUケースでの2030年度のCO2排出量が2015年度比で減少することから,このような都道府県が計画を策定する場合には,国よりも高い削減目標値とするなど留意が必要であることが示唆された.