2020 年 76 巻 7 号 p. III_53-III_63
近年,海外の大都市で発生した深刻な水不足の要因には,降水量の変動や水需要増加のほかに,水ガバナンスの欠如があると指摘されている.本研究では,インドのチェンナイ都市圏において,2019年6月に発生したDay Zeroとよばれる大規模な水不足の要因を降水量と貯水量変化から解析した結果,18か月降水量の減少と乾季の終わりまで無降雨が続いたことが,直接的な要因であることが示された.一方,Day Zero前後のSNS解析により,市民は早い段階で水を確保する手段を求めていたが,水道事業者からの情報発信が遅れ,さらに市民が求める情報を提供できなかった可能性が示された.また,市民が発信するSNSのキーワード解析から,チェンナイ市民が水危機を深刻な問題ととらえ,ガバナンスの改善を求めていることが明らかとなった.