土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第29巻
世界を対象とした第二世代バイオマスエネルギーポテンシャル量の推計とそれに伴う水消費量・窒素肥料必要量の環境影響
伊藤 涼太朗長谷川 知子藤森 真一郎花崎 直太
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2021 年 77 巻 5 号 p. I_191-I_196

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抄録

 今世紀末までに産業革命前からの地球の平均気温上昇を2℃未満に抑えるいわゆる2℃目標を達成する場合、世界の総エネルギー供給量の約20~30%をバイオマスエネルギーで賄うことが示されてきた。しかし、大規模なバイオマスエネルギーによる副次的な環境への影響、特に水資源や窒素肥料への影響はまだ十分に評価されていない。そこで、本稿では世界を対象としバイオマスエネルギー生産に伴う環境影響として潜在的な窒素肥料必要量と水消費量を明らかにした。2℃目標達成に必要なバイオマスエネルギーの生産にともなう潜在的な窒素肥料必要量は灌漑ありのミスカンサスの場合、9TgN/年となることが示された。一方、灌漑を行うことによる水消費量は392㎦/年増加する結果となり、2℃目標達成と水資源や窒素等の問題を同時に考慮する必要性が示唆された。

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