2021 年 77 巻 5 号 p. I_275-I_283
パリ協定長期目標の達成において,主要な排出源である交通部門からの排出量を削減することは重要である.本研究では2度目標の達成に向けて,カーシェアリング,自動運転,ロードプライシングといった多くの交通部門の新しい技術やサービス,政策が,排出量やエネルギー構成,削減コストや他部門などに与える影響を推計した.その結果,交通部門の変容は石油消費量の削減や排出量の削減だけでなく,他部門の排出制約の緩和や炭素価格の低減,さらにエネルギーシステムへの追加的な投資を大幅に削減できる可能性が示唆された.交通部門における積極的な需要抑制や燃費改善といった政策は,排出量だけでなくコスト面などでも多くの好影響を及ぼすことが分かった.