2021 年 77 巻 5 号 p. I_263-I_273
温室効果ガス排出削減策として炭素税が注目されている。炭素税は効率的に排出削減を行えるが、課税による影響が生活必需財・サービスに偏るという性質から、低所得階層ほど影響が大きいことが懸念されてきた。そこで本研究は、日本を対象として炭素税が所得階層別に家計消費へ与える影響を明らかにした。計算にあたり、消費行動変化が内生的に考慮されるモデルを用いた。その結果、低所得階層と高所得階層で支出減少割合に0.91%の差が生じ、低所得階層ほど課税による影響が大きいことが示された。このような結果が生じたのは、特に価格が大きく上昇する光熱関連が生活に欠かせない財・サービスであるために、低所得階層ほど消費行動を変化させられず、他の消費項目の消費を大きく減らさざるを得ないという、家計消費がもつ構造が原因だと考えられる。