2021 年 77 巻 6 号 p. II_183-II_192
現在,社会情勢の変化をふまえて,インフラ分野の脱炭素化とともにインフラの多面的な利活用が求められている.本研究では,埋め立て完了後の最終処分場浸出水処理施設を湿式メタン発酵の水処理施設として利用する計画をモデルケースとし,全国での適用可能性の分析を試みた.結果として,まず既存浸出水処理施設を利活用した湿式メタン発酵の計画事例をもとに算出した事業収支では,通常の投資回収年数を約30%短縮させる効果が示された.さらに全国の優良認定産業廃棄物処理業者における管理型最終処分場の情報をもとに分析した結果,2030年代前半に中部や近畿地方などにおいて一定規模の浸出水処理施設の活用可能性が示唆された.