2021 年 77 巻 6 号 p. II_193-II_198
人口減少や市町村の厳しい財政状況などに対応するため,ごみ処理施設の集約が政策的に要請されている.そこで本研究では,一般廃棄物焼却施設の集約に着目し,全国に存在する施設と広域化ブロックの現状ならびに将来の人口減少による廃棄物発生量の減少をふまえた最適な施設集約パターンを計算するアルゴリズムを開発し,全国レベルでの集約効果の推計を行った.3つの集約シナリオを検討した結果,人口減少が進展する状況下にある2030年代までの施設集約は,現在の処理規模ならびに効率性を確保するものとなることが示された.また,現在よりも施設を大規模化させ,300~600トン/日の大規模施設の集約化を目指したとしても,今後10年程度は大規模集約を行える可能性は大きくないことも示された.また,2030年代の施設規模の確保を目指すのであれば,施設の延命化は正当化できるといえた.