2021 年 77 巻 6 号 p. II_217-II_226
本研究は,1989年,2004年,2014年の3時点を対象として,世帯主年齢が35歳未満である若年層の消費支出に伴う直接・間接CO2排出量の変化を考察した.先ず,消費支出の内訳を明らかにするため,家計調査と全国消費実態調査を統合した家計消費データを作成した.次に,各消費支出に対応するCO2排出原単位を乗じて消費支出別の間接CO2排出量を推計した.直接CO2排出量は,家計消費における燃料消費に由来するCO2排出量を用いた.結果の一部として,二人以上世帯の一世帯あたり間接CO2排出量は,1989年で6.7t-CO2,2004年で8.5t-CO2,2014年で8.6t-CO2となった.大項目の消費支出別での比較の結果,通信に由来するCO2排出量は,二人以上世帯の場合,1989年から2014年で6倍以上増加していた.このことから,情報通信技術の進展に伴うCO2排出量の増加を抑制することの重要性が明らかになった.