2021 年 77 巻 6 号 p. II_207-II_216
本稿では,基礎自治体において災害廃棄物対策をマネジメントするための現状評価ツールを社会実装することを目的に,筆者らがこれまで開発を進めてきたプロトタイプに立脚し,「発災時に初動対応と処理事業マネジメントができること」の達成状況を指標で評価するツールの最終版を構築した.そのうえで,目標と指標の論理的なつながりを定性・定量的に示したうえで,3県における試行を通じて実態と整合した評価結果が得られることを示し,当該ツールの妥当性を示した.さらに,試行に併せて実施したアンケート調査の結果を統計解析し,当該ツールを災害廃棄物対策のマネジメントにおいて効果的に活用するためには,評価ツールに対する信頼を得ること,十分な評価時間を確保すること,他組織と相談すること,地域防災計画を参照することなどが重要であることを明らかにした.