2021 年 77 巻 7 号 p. III_277-III_284
土壌中のCsは大部分が固定態として存在しているが,森林土壌のような有機物を多く含む土壌はCsを固定する能力が小さい場合もある.本研究では,森林土壌中の放射性Csの鉛直分布を求め,森林土壌特性が放射性Csの存在形態に与える影響について検討した.深い層になると強熱減量,CECは減少し,RIPは増加した.土壌中Cs-137濃度の鉛直分布を求めた結果,表層から6cmまでの深さで9割のCs-137が存在していた.交換態Cs-137濃度は深さとともに減少したが,深さごとに求めた交換態の割合は深くなるにつれて大きくなった.大部分のCs-137は固定されているが,一部は溶存有機物などの有機物によって固定を阻害されたり,有機コロイドによる移動促進により,交換態として存在している可能性が考えられる.