土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第58巻
土壌特性と鉛直分布から考察される森林土壌中放射性Csの存在形態
池上 麻衣子福谷 哲島田 洋子高橋 知之佐藤 州米田 稔
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2021 年 77 巻 7 号 p. III_277-III_284

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抄録

 土壌中のCsは大部分が固定態として存在しているが,森林土壌のような有機物を多く含む土壌はCsを固定する能力が小さい場合もある.本研究では,森林土壌中の放射性Csの鉛直分布を求め,森林土壌特性が放射性Csの存在形態に与える影響について検討した.深い層になると強熱減量,CECは減少し,RIPは増加した.土壌中Cs-137濃度の鉛直分布を求めた結果,表層から6cmまでの深さで9割のCs-137が存在していた.交換態Cs-137濃度は深さとともに減少したが,深さごとに求めた交換態の割合は深くなるにつれて大きくなった.大部分のCs-137は固定されているが,一部は溶存有機物などの有機物によって固定を阻害されたり,有機コロイドによる移動促進により,交換態として存在している可能性が考えられる.

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© 2021 公益社団法人 土木学会
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