2022 年 78 巻 5 号 p. I_17-I_25
福島県浪江町北西部の帰宅困難区域では,2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故の後,避難指示は解除されておらず,解除までにどの程度の時間を要するのか,科学的知見が必要とされている.特に,山間部の渓流の地形は険しく,調査活動そのものが困難である.現状,渓流魚の体内に蓄積された放射性物質を定量化することにより山地渓流生態系内における放射性物質の移行メカニズムに関する議論が行われているが,放射性物質の吸着体としての効果や生物の食物連鎖への影響を検討する上で藻類の分布が1つの着目点となっている.そこで本研究では,渓流における付着藻類およびコケ類の総量を推定することを目的とした分類図の生成方法を検討し,UAVによる空撮画像を用いた1つの方法を提案した.