2022 年 78 巻 5 号 p. I_7-I_16
流域規模で環境勾配に沿って生物の分布を予測する生息場モデルは河川環境管理において有益である.しかし,瀬-淵に渡る水理学的変動を考慮した生物分布予測は検討されていない.そこで本研究では,宮崎県小丸川水系において,ランダムフォレストにより瀬-淵の水理学的勾配に沿った底生動物分布モデルを構築した.結果として,瀬-淵間において多くの環境変数(e.g., 傾斜度)に有意差が確認された.3地点以上に出現した156分類群の予測モデルにおいて,標高と集水面積の重要度が最も高く,ついで流速や水深などの水理学的変数が重要であった.水理学的変数を説明変数に加えて4分割交差検証を実施した結果,カゲロウ目,カワゲラ目,トビケラ目,ハエ目の4目,掘潜型,携巣型,匍匐型,造網型,遊泳型の 5 生活型において予測精度が有意に向上した.