2022 年 78 巻 5 号 p. I_251-I_262
近年,大気汚染の影響として特にPM2.5による健康影響と対流圏オゾンによる農業影響が注目されている.しかし,その分析に用いる化学輸送モデルの水平解像度の違いが上記項目に与える影響は未解明であった.本研究は,全球大気化学輸送モデル(CTM)を用いて低解像度の全球計算と高解像度の領域計算により,オゾン濃度とPM2.5濃度をそれぞれ算出し,濃度の観測値との適合性,農業・健康影響の推計に与える影響を評価した.その結果,高解像度化による観測値との適合性は顕著に向上せず,世界全体として農業・健康影響の変化も小さかったが,収量損失が大きく異なる地域が存在した.CTMの高解像度化は一部地域の農業影響分析に変化を与えうるが,影響分析全体に与える変化は限定的であると考えられた.