2022 年 78 巻 5 号 p. I_279-I_289
新型コロナウィルス(COVID-19)下で生じた消費の抑制は,自然環境質への訪問回数を低下させ,自然環境管理の根拠となる便益値をもたらした.本研究の目的は,観察された訪問回数に中止回数を加えることで,観光回数に基づく便益を主便益,消費の抑制分を副次的便益として同時に計測する簡便な評価モデルの構築である.理論モデルとともに,繰り返し離散選択モデルを用いた推計例を示した.データは,2021年中の観光の訪問および中止回数,および観光地の質に関するデータである.実証分析の結果,副次的便益の値は,観察された需要量からの便益値の約84%となることが示唆された.