2022 年 78 巻 6 号 p. II_265-II_272
環境アセスメント等において実施される猛禽類の調査は,主に目視観察や現地踏査により行われている.しかし調査に多くの労力を要しており,かつ発見漏れ等の課題もある.本研究では,効率的・効果的な猛禽類調査のツールとして,複数の地点で長時間録音された音声データから,オオタカAccipiter gentilisの鳴き声を自動で判別・抽出し,その位置を推定するシステム(音声レーダー)を開発した.オオタカの鳴き声の判別と抽出では,3パターン(警戒,餌乞,幼鳥)に分類することとし,スペクトログラム(声紋)の特徴を基に,決定木分析により判別した.さらに鳴き声による個体位置の推定は,音の距離減衰式を用いて,4地点の平面座標と音圧レベルから3元連立方程式を立式し,これを解くことにより行った.鳴き声の判別の適合率(正答率)は学習データで0.8~0.9,検証データで0.5~0.8であった.また,音声レーダーによる推定位置と現地確認の結果は,概ね一致していた.