2022 年 78 巻 6 号 p. II_77-II_87
近年,気候変動による洪水リスクの増加が懸念され,気候変動を踏まえた治水計画の見直しが緊縛の課題となっている.本研究では既に生じているリスク変化を把握するために,30年以上継続して雨量データが整備される58の一級水系における,洪水被害に繋がる規模の降雨の変化傾向を定量的に解析した.具体的には,58水系の雨量観測データを用いて,1・24・48時間の各単位時間にて,全国的および水系ごとに,降雨の規模および頻度についてMann-Kendall検定によるトレンド解析を行った.結果,降雨の規模および頻度について全国的に増加傾向が確認され,約7割の水系で年最大雨量が増加傾向にあることが示された.また,計画降雨量が設定される45水系のうち既に20水系で計画降雨量を超過した降雨が観測され,45水系合計の超過頻度も有意に増加していることが示された.