2022 年 78 巻 6 号 p. II_99-II_107
日本の各自治体における気候変動の影響認知および適応策の実施状況を把握することを目的に,47都道府県および1,741の地方公共団体の環境課に対してアンケート調査を実施し,1,098件の有効回答を得た.気候変動影響に対する深刻度認知としては,豪雨・ゲリラ豪雨,年間平均気温の上昇,熱波・猛暑に対する深刻度認知が全国的に高く,分野別では,農業分野,河川災害,山地災害,熱中症に対する深刻度認知が高くなっていた.これら分野別認知の違いにより回答自治体は6群に類型化された.具体的な適応策では,ソフト面での対策は多くなされている一方,ハード面での対策は進んでいない状況が見られた.適応策のための予算や経験,専門家との連携が不足していると回答した自治体は7割を超え,自治体における適応策推進のための課題と考えられた.