2022 年 78 巻 7 号 p. III_149-III_156
モデル地域を対象に,広域化・効率化による地域の汚水処理施設からのGHG排出量の削減ポテンシャルを,省エネ施策や消化ガス発電といった創エネ施策,焼却N2Oを対象としたGHG削減施策を総合的に評価した.広域化施策では集落排水処理施設の統合により現状の合計値10,200kg/日が7,000kg/日(31.4%削減)となり,し尿処理統合の統合により発電量が2割近く増加し,現状の合計値11,300kg/日が6,500kg/日(42.5%削減)となった.効率化施策では現状の18,200kg/日が,省エネによる電力消費削減で16,700kg/日まで低下(8.2%削減)でき,創エネによる発電量増加で14,900kg/日まで低下(18.1%削減)できた.GHG削減施策としては,汚泥含水率の低下で燃料が半分以下に削減でき15,400kg/日まで低下(15.4%削減)でき,焼却N2O発生対策により12,500kg/日まで低下(31.3%削減)できると試算された.モデル地域全体におけるGHG排出量は現状の36,500kg/日が15,600kg/日まで低下(57.3%削減)できると見積もられた.削減後のGHG排出量(15,600kg/日)の6割以上は下水道施設由来であり,更なる省エネ・創エネ技術の開発・実装が必要と考えられる.