2022 年 78 巻 7 号 p. III_23-III_32
牡蠣を人為的にノロウイルスGII.2とGII.4に汚染する実験を行い,牡蠣に蓄積されたノロウイルス量の分析を行った.ノロウイルスGII.2(陽性率:80.0%)はGII.4(陽性率:60.0%)よりも牡蠣に蓄積されやすい傾向があった.遺伝子型に関わらず,高濃度のノロウイルスGIIを添加した人工海水で24時間飼育しても,ノロウイルスGIIを蓄積しない牡蠣が存在し,ウイルス蓄積量の多い牡蠣(中腸腺1g当たり約4.08log copies)と少ない牡蠣では100倍以上の個体差があったが,牡蠣のノロウイルスGII蓄積量は,個体重量や中腸腺重量とは相関がなかった.今回の実験で確認されたようなウイルス蓄積量の少ない牡蠣を選別して養殖できれば,より安全性の高い牡蠣の提供につながるだろう.