土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第59巻
ゼオライトによる下水処理水中の抗菌剤除去と藻類を用いた生態毒性評価
石川 奈緒小林 大晟加藤 輔野村 咲希伊藤 朋子岩渕 勝己高橋 律久笹本 誠伊藤 歩
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2022 年 78 巻 7 号 p. III_297-III_306

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抄録

 下水処理水から検出された5種類の抗菌剤(ロキシスロマイシン(ROX), クラリスロマイシン(CLR), レボフロキサシン/オフロキサシン(LEV), スルファメトキサゾール(SMZ), スルファピリジン(SPD))について,ゼオライトを用いた抗菌剤の除去処理を検討した.各抗菌剤溶液を1時間処理した場合の除去率はROX, CLRでは93%以上,LEVでは60%以上であったが,SMZとSPDは7%以下であり,この除去傾向は下水処理水のろ液(下水処理液)をゼオライト処理した場合も同様であった.特にToxic Unitが高いCLRが除去されることにより,ゼオライト処理液の生態毒性は顕著に減少し,さらに短期毒性試験により処理液についてR.subcapitataへの安全性が確認された.一方,下水処理液中の溶存有機物がゼオライトに吸着するため,長期間連続的にゼオライト処理を行った場合の除去効果の継続性について検討する必要性が示された.

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© 2022 公益社団法人 土木学会
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