2022 年 78 巻 7 号 p. III_297-III_306
下水処理水から検出された5種類の抗菌剤(ロキシスロマイシン(ROX), クラリスロマイシン(CLR), レボフロキサシン/オフロキサシン(LEV), スルファメトキサゾール(SMZ), スルファピリジン(SPD))について,ゼオライトを用いた抗菌剤の除去処理を検討した.各抗菌剤溶液を1時間処理した場合の除去率はROX, CLRでは93%以上,LEVでは60%以上であったが,SMZとSPDは7%以下であり,この除去傾向は下水処理水のろ液(下水処理液)をゼオライト処理した場合も同様であった.特にToxic Unitが高いCLRが除去されることにより,ゼオライト処理液の生態毒性は顕著に減少し,さらに短期毒性試験により処理液についてR.subcapitataへの安全性が確認された.一方,下水処理液中の溶存有機物がゼオライトに吸着するため,長期間連続的にゼオライト処理を行った場合の除去効果の継続性について検討する必要性が示された.