2022 年 78 巻 7 号 p. III_441-III_448
グラフィティックカーボンナイトライド(以下CNとする)は可視光で駆動し合成が容易な光触媒である。本研究ではCNと生分解性の吸着剤であるキトサンを用いて環境配慮型で固液分離が容易な光触媒担持吸着剤(CS/CN)を新たに開発し、有機色素であるアシッドブラック1(AB1)とマラカイトグリーン(MG)の吸着・分解特性を評価した。その結果、光触媒単独による色素分解実験では明条件においてCNは180分から390分で色素をほぼ除去した(除去率94%以上)。CS/CNを用いた色素吸着・分解実験ではキトサン吸着剤のみでは除去しきれなかった色素を明条件では除去することができた(除去率 91%以上)。CNはTiO2(二酸化チタン)と比較し反応速度が小さかったことからCNの光触媒活性向上などの課題はあるが、CNを用いた光触媒担持吸着剤は様々な汚染物質の除去に有効である可能性が示された。