土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第59巻
説明可能な機械学習を用いたSDG目標6関連指標の相互関係性評価
田辺 洋輝Mohamed ELSAMADONYDhimas DWINANDHA藤井 学
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2022 年 78 巻 7 号 p. III_81-III_94

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抄録

 国連は2030年までに達成すべき目標として「持続可能な開発目標(SDGs)」を掲げている.しかしSDGsはその複雑さゆえに目標・ターゲット間に種々の相互関係(相乗関係やトレードオフ関係)が存在し,進捗改善に向けて的確にその相互関係を把握する必要がある.本研究では,目標6「安全な水とトイレを世界中に」に着目し,各目標が相互関係を通して目標6の指標進捗に与える影響について説明可能な機械学習を用いて調べた.具体的には,176の国を対象にSDGsに関わる80の指標を選定し,クラスター解析や説明可能な機械学習(LIME)によって分析した.ターゲット6.1/6.2関連指標(飲料水,衛生設備へのアクセス人口割合)と他のSDGs指標との相互関係性を調べた結果,電力普及率や貧困率,死亡率と相乗関係にあり,一方でエネルギー消費や廃棄物とトレードオフ関係にあることが示唆された.このように多様なSDGs目標間・ターゲット間の相互関係性を定量的に示し,これまでの定性的な見解を数理的に検証する手法の一つとして説明可能な機械学習を活用していくことが望まれる.

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