2007 年 63 巻 2 号 p. 120-127
ファイトレメディエーション(Phytoremediation)は植物の生理機能と代謝機能を利用した環境修復技術である.本研究は,温室内でカラムを用いて植物栽培し,土中深度別の水分及び重金属の移動を計測して植生による排水抑制・緩和効果の実証試験結果をまとめたものである.植物を生育させることで,深度10cm及び深度30 cmの根圏で保水効果を示し,カラム下部への水分移動を抑制・緩和できたが,土中深度別の間隙水及びカラム下端排水中の鉛濃度に変化はなかった.積算排水量は無植生の657mlに対しギニアグラスが87mlであり,ギニアグラスの排水抑制効果は高く,87%排水量を抑制し,汚染拡散を抑制するPhytostabilization効果のあることが確認できた.